PRP療法を右膝内側側副靭帯損傷治療目的で施術いたしました。
すでに右大腿四頭筋への荷重トレーニングを開始しているようですがこのため患部の痛みが増強したことを訴えられていました。
レオナルド選手の右膝関節可動域、疼痛部位、他状態などを診察しMRI画像所見を検討させていただき、注入量、施術方法を検討しPRP療法を行いました。
精製しましたPRP 0.6ccを画像所見を参考に圧痛点を中心に、32G針で5ヶ所、各0.12cc注射しました。
施術後48時間程度は注射部位に一致するやや強い痛みが出現することがあります。
当日の歩行は可能ですが、3日間は運動は禁止、疼痛がなければ4日目からの軽い運動は許可しました。
他に日常生活など制限はありません。鎮痛の効果は早い場合で1週間以内に出現します。
全治2ヵ月と診断されていたのですが、PRP療法を施術してから2週間で回復し、復帰戦ではゴールを決める活躍を見せました。
手順と背景
患者 レオナルド エンリケ ダシルバ様ご承諾のもと、肘静脈より末梢血10cc採取し、Single spinで3500rpm/7分間遠心分離して血漿を分離抽出。
PRPの精製はMycells PRP精製キット (Kaylight Ltd, Ramat-Hasharon,Israel)を用いて精製プロトコールに従い0.8ccのPRPを精製しました。
このキットはゲルセパレーターが試験管内に前もって挿入されたキットでSinple spinで簡易にPRP精製が可能です。また、現在、国内では10年ほど前より多くの美容医療施設で美容治療に使用され副作用が認められず、美容治療効果が確立されたものです。
延べ数十名のトップアスリートへの施術を実施して有効な結果が得られています。
順天堂大学医学部 池田浩准教授らがこのキットに含有される細胞腫および成長因子濃度を測定、検討し報告されていますが血小板濃度は約3.3倍。赤血球や好中球はほとんど含まれずリンパ球優位の白血球がわずかに含まれる血漿になります。(LP-PRP)LP-PRP中の成長因子濃度も有意に高値です。
同方法で精製しましたPRPによる陸上オリンピック日本代表選手、陸上パラリンピック日本代表選手の難治性膝蓋腱炎に対し有効性を確認しています。いずれも競技復帰困難と担当医から告げられ当院にて施術を行い現役アスリートとして競技に復帰しました。
PRPは、靭帯および腱細胞に対します細胞増殖促進作用や組織への血管新生促進作用を有すると考えられますので血流の乏しく修復機転の働きにくい部位にも有効性が期待できると考えます。国内外でほとんど症例報告が無い母指種子骨障害による難治性疼痛、指神経障害のツアープロゴルファーのPRR術後の経過も良好で今季ツアー復帰されています。国内でのエビデンスは乏しい治療法ですが、副作用が無い点、手軽に行える点、欧米ではすでに普及して補助的な治療法もしくは他治療法での難治症例にも奏効する可能性が報告されています治療法であるため 現在、他施設との共同でプロトコール作成に努めています。
使用したキットはFDAのPRP治療目的での承認済みです。
安全で確実な治療効果を探求すべく研究を行っています。
経過も良好で痛みも消え、復帰戦ではゴールを決める活躍をされました。